2009/12/10 プレゼント第39弾
プレゼント第39弾は、東野圭吾(ひがしのけいご)著、「 容疑者Xの献身 」を2名の方へ。
第134回直木賞受賞作品。福山雅治さんの「探偵ガリレオ」シリーズでは映画化もされ
(文庫本の「オビ」に記されていて知りました。個人的にはテレビでも見たことはありません。
ただ、会社の同僚は映画も見に行ったようで、やはり良く知っていました。)
珍しく結末を想像したりすることもなく、どんどんと読み進んでいるうちに終わってしまった。
つまりはそれぐらい面白かった。これは読んでおくべき本だと思いました。
実際に読み終わったのは2週間ほど前になりますが、その前後で読んだ本の中で最も面白かった。
読後、「いや、然しこれはちょっと反則的ではないか、何となく」と一瞬考えたりもしました。
情報の出し方そのものが、この作品自体において非常に重要な役割りを担っていたからです(後になって知る)。
何か「だまそう」「隠そう」という作者の戦術に最初から乗せられていたような気がしたからです。
然しこういうスタイルの本があっても良いと思うし、何しろ面白いのです。
そして途中で出してくれている十分過ぎる情報をきちんと整理すれば、答えは単純に分かる筈だったのです。
「木(の葉)は森に隠せ」ではありませんが、答えは常に見え続けていたのです。
(だからこそ、皆「やられた」と思わされるのでしょう。)
東野さんの本は、「白夜行」と合わせて今回初めて読んでみましたが、
然しその手口が鮮やかであるため、別の本を更に何冊か読んでみたいと思いました。
犯人のひとりである「石神哲哉」が考え出したトリックと、これを完遂させるための布陣、
そして東野さんにだまされた手口が共通しているところにも、少々腹が立ちます(笑)。
石神等によって小出しに出されていく情報に撹乱され、ますます本線から外れていく警察と同様に、
一見、追い詰められていくように見える石神たちの不安や焦りの情景を巧みに道具として用い、
本作では何よりも石神が共犯関係にあるという事実を冒頭で披露してあるがために見落とすことになる、
本線のトリックを隠蔽するその手法は、「にくい」という他にありません。
またこれら幾つかの「証拠」や、登場人物の役割りなども最後には無駄なくひとつに纏まり、
最後には作品全体のエネルギーみたいなものも、ひとつに収まって消えていくように終わるところもお見事。
これほど見事に収まって終わった小説は初めて読んだかも知れません。
この点ひとつ取り上げても素晴らしい作品だと感じました。
これら数々の手法を巧みに操るこの東野圭吾さんという作家は、
きっと多様なストーリーを描くことのできる稀有な作家ではないかなと感じました。
ただ一点、これは個人的な感想ですし、余り話してしまうと拙いのですが、
凶器を、う〜ん、どのように言ったらいいのか、遠回しに言いますとね、
「その凶器を使ったのかどうか」という一点が気になるところなのであります。
勿論殺人事件なので凶器は使うのですが、読んで下さればお分かりになります。
そのどちらを使っても、いずれも理由付けは可能ですが、然しどちらにしてもここから突破される
可能性があるのではなかったかと、そこだけが若干消化不良気味です。
その辺について、石神さんには論理的にすっきりさせて欲しかったと思いました。
情報館よりこの本を2名の方にプレゼントさせて頂きます。
勿論、私が読んだものではなく別の新品です(念の為)。
顧客サービスの一環ですので、ご応募は登録会員の方、
または弊社を通して過去に売買物件をご購入頂いたお得意様の限定とさせて頂きます。
ご応募はメールフォームから。締め切りは2009年12月23日(水)午前0時までとさせて頂きます。
12月24日、不肖荒井が手を洗い浄めた上、厳正且つ粛々とサイコロを振り、ご当選者が決定致しました。
ご当選者は、「 CB700 」様と「 51:49 」様です。おめでとうございました。25日に郵送にて発送させて頂きました。
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