2009/11/07 プレゼント第37弾
プレゼント第37弾は、白川道(しらかわとおる)著、「 海は涸(かわ)いていた 」と、「 終着駅 」を2冊セットで。
非常に良いです。是非お読み下さい。「 終着駅 」は読み始めた途端、すぐに白川ワールドに引き込まれて、
もう嬉しくて嬉しくて(笑)。できれば3倍位の総ページ数にしてほしかった・・・。
白川さんのデビューは遅く、それからまだ15年くらいしか経っておりませんので、
著作はまだ多くはありませんが、お書きになった全ての本を読んでみようと今回決めました。
(と言ってもあと数冊しか残っていないところがこれまた非常に残念)
以前ここで紹介させて頂いた同氏の「天国への階段」の紹介の折には、
「全体を通した暗い、陰鬱な雰囲気がとても良かった。」と書きましたが、これでは言葉が足りませんでした。
氏の著作の主人公の多くが、アウトサイダー的な生き方をしていたり、
犯罪に手を染めたことがあったりと、そのような設定が多いことも起因しているのでしょうが、
それよりも、登場人物の心に刻まれ、深く、重く、固定化しているもの、
それが読んでいる私のそれと同調し、強く惹かれていくのではないかと思います。
過去に経験した心の傷やしこりには思い出したくないものもあります。
そんなものは無いに越したことはないと思いますが、
然しそのようなものがない人が、果たして幸せな人であると言えるのかどうかは分かりません。
ただ、普通に考えると、自分のそれが同調していくような本は読みたくない筈だと思うのですが、
その曇天のような雰囲気、灰色に塗りつぶされたようなカンバスに吸い込まれていくのです。
内容は決して穏やかではなく十分にハードなのですが、癒されさえするのです。
とても優しい気持にさせてくれるのです。
登場人物の個性、志向、スタイルが一定、安定していることも大きいと考えられます。
そんな当たり前な(だと思っていた)こと、そんな基本的なことが守られていない小説が、
随分多いもんだなと最近感じるのですが、それは現在がそのような時代だからいいじゃん的なノリなのでしょうか。
白川道さんの描く物語の登場人物のキャラクターが「立っている」と感じるのは、
逆に言えば、日常でそういう魅力のある人が減っているが故に感じることなのでしょうか。
「社会人」「大人」が減っているが故に感じることなのでしょうか。
そして白川さんの物語に登場する主人公たちは共通して「純」です。
様々な仕事に就き、しがらみを引きずって生きる大人たちなのですが、「純」なのです。
そういうところも含めて、登場人物を「信じる」ことができ、また応援したくなるのではないかと感じました。
今回同じ時期にご紹介頂いたあるベストセラー作家の本も数冊読ませて頂き、
こんな展開、然しまあよく考えつくものだと大変に驚き、感心させていただきましたが、
ジャンルや著す目的の違いもあるのでしょうが、その後に読んだ白川さんの本で消し飛んでしまいました。
比較してみると、白川さんの書く物語には通底して、「生き方」が描かれているからでした。
そしてそれは決して大袈裟なものではなく、「筋を通す」「約束を守る」「友人を思いやる」というようなもので紡がれ、
取り立てて意表を突かれるものでもなく、物語の結末などはかなり早い段階で分かってしまうのですが、
それでも登場人物がまるで自分の友人であるかのように心配になり、喜び、教えられるのです。
(ただ、だからこそ主人公には生きていて欲しいのだが・・・。)
一度読んでしまったらもういいというようなミステリーとは違って、何度も味わえる本だと思います。
最後に台詞も恰好がいい。概して主人公たちはシャイで一本気、知的で優しく、スタイリッシュである。
そう、「生き方」というよりも、「スタイル」と言った方が適当であるような気がします。
物語りの展開も、主人公たちの性分も、悩みはすれども薄暗い手段に訴えず、ほとんどが直球勝負。
それはきっと白川道さん自身が、そういう方なのでしょう。
情報館よりこの本2冊をセットにして2名の方にプレゼントさせて頂きます。
勿論、私が読んだものではなく別の新品です(念の為)。
顧客サービスの一環ですので、ご応募は登録会員の方、
または弊社を通して過去に売買物件をご購入頂いたお得意様の限定とさせて頂きます。
ご応募はメールフォームから。締め切りは2009年11月25日(水)午前0時までとさせて頂きます。
11月29日、不肖荒井が手を洗い浄めた上、厳正且つ粛々とサイコロを振り、ご当選者が決定致しました。
ご当選者は、「 むー 」様と「 51:49 」様です。おめでとうございました。遅くなりましたが30日に郵送にて発送させて頂きました。
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