2009/05/26 プレゼント第25弾
プレゼント第25弾は伊坂幸太郎著 『 オーデュボンの祈り 』(新潮社/文庫) です。
伊坂さんの本は以前から甥に薦められ、今回3冊購入して読んでみました。
この5月23日(土)から全国で封切られている「 重力ピエロ 」の原作の方を
今回のプレゼントとさせて頂こうかとも考えましたが、
伊坂さんの著作では同じ登場人物が複数の作品に登場してくるようで、
それならば私と同じようにまだ読んだことがない方の場合は、
なるべく初期の作品から読んだ方が良いのではないかという考えと、
今回読んでみた3冊(他に「 ラッシュライフ 」)も含め、
私自身が最も強烈なインパクトを感じた作品でしたので、この本にしてみました。
読み始めた当初は、「 いや、しまった。 」 「 これ、最後まで読めるのかな? 」
「 しかも3冊も買ってしまって・・。 」 「 甥に何と言おうか(読まなかった場合)。 」という感じでした。
コンビニ強盗を働くような奴が主人公。舞台は現代の東北地方の離れ島。
それも殆ど外界から遮断されているという設定。眠りから覚めると主人公はこの島に辿り着いたことを知る。
しいて言えば何故かSF的・・。こ、これは大して期待できそうにない・・・。
最初は落胆とある種の拒絶を感じました。
然し何とか、と読んでいるうちに、直ぐに拒絶が戸惑いへと変化していきました。
それは今まで記憶になかったような新種の何かに触れた時のような、
今まで見た覚えも、聞いた覚えもないようなものに初めて遭遇した時のような感覚。
「 ラッシュライフ 」のなかにある「 だまし絵 」のように常識を侵食してくるような感覚。
これは一体何だろう。
例えば形は「りんご」に似ているが、色は真っ黒な「何か」を眼の前にして、
脳が記憶と経験を元にして、「それ」が一体何であるのか、
情報の解析をフル活動で開始した時のような感覚。
私の脳は、最初に感じたズレと違和感はそのままに、
然し次第に拒絶を新たな経験を欲させるかのように変化させ、
未知なる領域へ私を誘うかのように、途中で放り出すことを許しませんでした。
何でも知っている「優牛(ユウゴ)」という喋る「カカシ」。(未来も予知する)
太り過ぎて市場から動くことができなくなり、座ったまま何年も生活している「うさぎ」さん。
島の警察署から殺人を黙認されている物静かな男 「桜」。など登場人物?も面白い。
薦められるまで名前すら知らなかった伊坂幸太郎さん。力のある作家だと思いました。
作中の会話も、会話というよりは「台詞の掛け合い」という感じで、
スマート且つウィットに富んでいて、いかにも映像に向きそうである。
然しそれよりも何より全文のかなりの割合を占めている、台詞の前後のちょっとした感情描写や
ひとりごとのような部分が、如何にも「作りました」という感じではなく自然で、
従って慣れれば相当に読みやすい(きっとこれは大変な筆力だと思う)。
この人は本当に1971年生まれなんだろうかと時折疑ってしまうほど、経験に裏打ちされているような
表現が出てくるところにはしばしば驚かされ、非凡で深い才能を感じさせます。
またストーリーでは全く関連性がない複数の作品上に、同じ人物が絡んできますので、
読み手は作品に対して親近感を感じることになりそうです。
「 ラッシュライフ 」や「 重力ピエロ 」に登場した「黒澤」という泥棒も魅力的な人物で、
他の作品にも登場するようですので、他の本も読んでみたくなりますよね。
情報館よりこの書籍を1名の方にプレゼントさせて頂きます。
勿論、私が読んだものではなく別の新品です(念の為)。
顧客サービスの一環ですので、ご応募は登録会員の方、
または弊社を通して過去に売買物件をご購入頂いたお得意様の限定とさせて頂きます。
ご応募はメールフォームから。締め切りは2009年06月09日午前0時までとさせて頂きます。
06月11日、不肖荒井が手を洗い浄めた上、厳正且つ粛々とサイコロを振り、ご当選者が決定致しました。
ご当選者は、「 51:49 」様です。おめでとうございます。06月12日に郵送にて発送させて頂きました。
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